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藤圭子趣味

"本質的にハグレてる" ものを嗜好するゲテモノ喰ひだと己を規定する

低音は出ません

藤圭子という歌手は、今も昔も音楽としてあんまりマトモに聴かれていない気がします。
リスナーが思い描くストーリーやイメージの受け皿として
藤圭子」っていうパッケージがすごくよくできていて、
少なくとも半分はそのせいで売れてたっていうのは言い過ぎでしょうか。

たとえばいま通販で売ってるボックスセットがありますが、
その広告文には次のように書かれています。

あの、シビれる低音の圭子怨歌が甦る!
昭和歌謡ヒット&カバーソング集。
夜の女の心を情感込めて歌い上げた「圭子怨歌」で、
アルバムセールス42週連続1位という快挙を成し遂げた藤圭子
その迫力ある低音を堪能できるCD5枚組が登場しました。

 

何かしら強力な低音のブーストが効いた製品を売りたいのだということは伝わってきますが、少なくともこれを書いた人は、藤圭子を聴いたことはありませんね。

 

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どの歌を聴いてもわかるはずですが、
低音が細くて弱いのが、良くも悪くも藤圭子の特徴です。
音が低くなるととたんに苦しくなってしまいます。
うなるような歌い方をしても、
ドスをきかしてるように聞こえても、
それはべつに低音が出てるわけではないのです。
豊かな低音で朗々と歌い上げるタイプですか藤圭子は?
違いますね。

ところが中音域から高音域にかけては
がぜん力強く太く伸びやかになって、
何度聴いても惚れぼれします。

ですから、「シビれる低音」などというのは根本的に間違ってるわけです。
それを言うなら「苦しまぎれのキビシイ低音」です。

ヘッドホンの性能の話ではありません。藤圭子のことを言っています。
いっぺん黙って座って聴いてほしいというのが、私のただ一つの願いです。


 





<おまけ>
「夢は夜ひらく」を最初に歌ったのが緑川アコです。
なぜか映画「マタンゴ」を思い出しますが、
私は園まりのバージョンよりも好きです。
これを聴くと、「可憐な少女歌手」であった藤圭子の本質が逆にわかります。


夢は夜ひらく 緑川アコ - YouTube